『零日攻擊 ZERO DAY』第1話 戦争か平和か【登場人物・キャスト・台湾の政治】

台湾ドラマ『零日攻擊 ZERO DAY』(原題『零日攻擊』、英語タイトル“Zero Day Attack”)が8月15日から日本のAmazon Prime Videoで配信開始された。台湾海峡の戦争をテーマにしたかなり踏み込んだドラマで、制作に関わったスタッフの中には、エンドロールに名前を掲載しないことにした方もいるくらいだと聞いた。

日本からは高橋一生、水川あさみが出演するということもあり、とても楽しみにしていた。全10話のオムニバス形式、複数監督が各話を担当するとのこと。本ブログでは実際の台湾政治・政党との関連性、キーワード、感想についてまとめてみる。

『零日攻擊 ZERO DAY』第1話 あらすじ

台湾の総統選挙後、Y8偵察機が台湾東部の太平洋で墜落・行方不明になる事件が発生し、中国側は捜索救助を名目に軍を出動させ、台湾周辺の海域を包囲する。

台湾内では戦争の脅威が目前に迫る中で、社会の混乱が次第に激しさを増していく。就任を控えた新総統と、退任を控えた現職総統は、政治的権力闘争に巻き込まれる一方で、反戦運動の高まりや中国の脅威にも直面し、宣戦布告をすべきか、それとも自身の権力を守るべきかという決断を迫られる……。

『零日攻擊 ZERO DAY』第1話 主要登場人物/キャスト

※ネタバレを含むのでご注意ください

王明芳(ワン・ミンファン)/ 演:謝怡芬(シエ・イーフェン、ジャネット・シエ)

民主党の総統候補者、現台北市市長。次期総統として当選後、民主党党首との立場の相違から脱退し、新世代連盟党を設立する。

この役を演じる謝怡芬(ジャネット・シエ)はアメリカ育ちで、中国語のイントネーションやアクセントがちょっとアメリカっぽいのが個人的に気になってしまった…!

宋崇仁(ソン・チョンレン)/演:陳文彬(チェン・ウェンビン)

自由党の中華民国現職総統、総統候補者の一人。落選後、王明芳(ワン・ミンファン)の新世代連盟党と連立政権を組み、行政院院長を務める予定。

俳優の陳文彬(チェン・ウェンビン)は最近YouTubeで見た台湾語映画『阿媽』で、LGBT+の息子と向かい合う父親を演じたのが記憶に残った。調べたら民進党所属の立法院議員などの政治活動経歴があり、このドラマでの役もしっくり来る。

楊又雲(ヤン教授)/演:鄭有傑(チェン・ヨウジエ)

王明芳(ワン・ミンファン)の夫。はじめてのファーストレディではなく「第一先生」(中国語で「総統の夫」を意味する)になる予定。

莊又如(ジュアン・ヨウルー)/演:鄧九雲(ジョアン・デン)

王明芳(ワン・ミンファン)の警護を担当する警官。息子は軍で働いている。

女優の鄧九雲(ジョアン・デン)が執筆した初の長編小説『女二』は台北文学賞年金大賞を受賞しており、俳優の経験に基づいた内容である。

黃亦君(ホアン)/演:尹乃菁(Yin Naijing)

新進党の党首、総統候補者の一人。脅威になる第三の党かと思いきやあまり出番がなかった。

許博文(シュー)/演:游安順(ユー・アンシュン)

民主党の党首、王明芳(ワン・ミンファン)の父親とは旧知で、二人で何かとアドバイス・口出ししてくる。

王嚴文/演:傅雷(フー・レイ)

王明芳(ワン・ミンファン)の父親。何かと「許(シュー)おじさんの話を聞け」と言ってくるし、発言から察するに、息子や家族が中国で事業を興しており、娘の政治的スタンスとは異なる。

強哥(チアン)/演:杜汶澤(チャップマン・トゥー)

テレビに出演する論客。第2話でも登場し、実はAGM自衛団(原文:AGM人民兵團)を組織していると正体が明らかになる。

役者の杜汶澤(チャップマン・トゥー)は香港出身で、2020年代以降台湾に移住している。

莊柏甫(ジュアン・ボーフー)/演:杜以謙(Roy Tu)

中華民国陸軍の軍人、莊又如(ジュアン・ヨウルー)の息子、極秘の大膽島(ダーダン島)の任務に就く。

楊景騰(ヤン・ジントン)/演:于擎楷(Roy Tu)

王明芳(ワン・ミンファン)の息子。アメリカ育ちで台湾に連れてこられたことに不満げ。台湾籍なので兵役があるという話がリアル。

『零日攻擊 ZERO DAY』第1話 感想

※ネタバレを含むのでご注意ください
※個人の見解と感想となります

台湾の政党

第1話には架空の二大政党「民主党」と「自由党」が登場する。実在する台湾の政党「国民党」と「民進党」と全く同じ設定ではないものの、いくつか連想させる設定があるので、やはり二つの政党とそれぞれのスタンスを意識しているのかなと想像している。

民主党

現台北市長、次期台湾総統として当選する王明芳(ワン・ミンファン)がもともと属する政党で、許博文(シュー)が党首を務める。

以下の設定が、個人的には国民党をイメージしているのかなと思った。

  • 党の若手政治家が台北市長を務める
  • 台北市が票田である
  • 百年政党である
  • 王明芳(ワン・ミンファン)の父の王嚴文が「中国の礼節(原文:中國人的禮數)を忘れるな」と発言する
  • 党首の許博文(シュー)が、台湾海峡情勢が緊迫した後に考えたスピーチに「ひとつの中国(原文:一中原則)」について言及されている

自由党

現中華民国総統を務める宋崇仁(ソン・チョンレン)が属する政党。

以下の設定が、個人的には民進党をイメージしているのかなと思った。

  • 宋崇仁(ソン・チョンレン)が台湾語を話すシーンが多い
  • 中南部が票田
  • 対中スタンスが比較的強硬派

そのほか、以下の内容はいずれの党にも当てはまりそうで、台湾政治の今を表していると感じた。

  • 総統の政権交代
  • 国会の議席が過半数を割る
  • 党の若者による改革、閣僚の若返りを図る
  • 反戦派の若者が多い

台湾政治に関するキーワード(中国語)

台湾の政治や時事に関するキーワードが多く、台湾人の私でもパッと聞きとれなかった単語も多いので記録する。

日本語中国語(繁体中文)
対米軍備調達對美軍購案
行政院院長閣揆(=行政院院長)
一国二制度一國兩制
連立政権聯合政府
Y8偵察機運八偵察機
美軍芬恩號米軍ジョン・フィン(ミサイル駆逐艦)
情報提供者線民

※ヘッダー画像は公式Facebook「零日攻擊 Zero Day Attack」より


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