『零日攻擊 ZERO DAY』第2話 蛇仔(ショーザイ)【登場人物・キャスト・台湾の時事と諺】

台湾ドラマ『零日攻擊 ZERO DAY』(原題『零日攻擊』、英語タイトル“Zero Day Attack”)が8月15日から日本のAmazon Prime Videoで配信開始された。台湾海峡の戦争をテーマにしたかなり踏み込んだドラマで、制作に関わったスタッフの中には、エンドロールに名前を掲載しないことにした方もいるくらいだと聞いた。

日本からは高橋一生、水川あさみが出演するということもあり、とても楽しみにしていた。全10話のオムニバス形式、複数監督が各話を担当するとのこと。本ブログでは第2話と台湾時事や社会情勢の関連性、感想についてまとめてみる。

『零日攻擊 ZERO DAY』第2話 あらすじ

カンボジアで特殊詐欺に加担された若者の蛇仔(ショーザイ)は身一つで台湾に戻った。彼女が妊娠し、生まれてくる子どものために仕事を掛け持ち、必死に稼いで家庭を支えようをするが、得られたのは社会の冷たい視線と恋人の絶望のみだった。

時を同じくして、戦争の影が静かに迫ってきており、蛇仔(ショーザイ)は「強哥(チアン)」という男と出会う。強哥(チアン)の言葉を信じ、混乱を機に這い上がろうとする蛇仔(ショーザイ)は地下組織に入り、暴力行為に手を出してしまう……。

『零日攻擊 ZERO DAY』第2話 主要登場人物/キャスト

※ネタバレを含むのでご注意ください

蛇仔(ショーザイ)/ 演:謝章穎(シエ・ジャンイン)

本名は吳凱睿(ウー・カイルイ)。あだ名は「蛇仔(ショーザイ)」。

両親が営むお店は「吳蛇王」といい、萬華にあるような蛇スープ屋で、あだ名の由来になっていると思われる。和訳では中国語発音のショーザイと訳われるが、作中では台湾語発音のtsuâ-áと呼ばれている。

林珮恩(リン・ペイエン)/ 演:任敏嫻(レン・ミンシアン)

蛇仔(ショーザイ)の恋人。ドリンク屋で働く。

妊娠後、蛇仔(ショーザイ)を信じて家族を築こうとするも失望していく。

強哥(チアン)/演:杜汶澤(チャップマン・トゥー)

第1話では、テレビに出演する論客として登場。第2話では台湾を守るという名目で自衛団を組成し、若者を扇動して街中の暴力行為を支持する。

役者の杜汶澤(チャップマン・トゥー)は香港出身で、2020年代以降台湾に移住している。本ドラマの挿入歌《莊敬自強(之無路可逃)》を歌っているが、歌詞は台湾に移住した香港人の心情を描いているという。

小李(リー)/ 演:洪群鈞(ホン・チュンジュン)

蛇仔(ショーザイ)の悪友。強哥(チアン)の組織に入って稼ぐよう蛇仔(ショーザイ)を誘う。

小嫻(シアオシエン)/ 演:邱子芯(ミア・チウ)

蛇仔(ショーザイ)に借りたお金の返済を求める女性。

『零日攻擊 ZERO DAY』第2話 感想

※ネタバレを含むのでご注意ください
※個人の見解と感想となります

カンボジア特殊詐欺・闇バイト

第1話と比較すると、蛇仔(ショーザイ)という若者が社会に幻滅し、将来を見出せず破滅していく過程に焦点を当てるいるものの、台湾の政治情勢や時事もところどころ反映させている。

蛇仔(ショーザイ)は一攫千金を夢見るも騙されてカンボジアに行き、すべてを失い借金を背負う羽目になる。この設定は、台湾で近年よく聞くカンボジアでの闇バイト・詐欺事件を思い出す。

具体的には、高待遇・高収入の仕事があると誘われ、カンボジアに入国したら監禁や暴行、人身売買などの被害に遭う事件で、2020年代からこのような事件が増えているよう。特に2025年に起きた女子大生が騙された事件は、祖父が借金をしてお金を手配し、無事救出されたという報道が記憶に残る。

這い上がれない若者

戦争の影が近づく中、権力や地位、富を持つ階層は海外へ脱出することができるが、それ以外の一般人はそれができない。お金を稼ごうにも、仕事は給料が少なく、または仕事すら見つけられない。

「若者の君たちが這い上がれないのは、上のやつらが搾取しているからだ」と扇動する強哥(チアン)だが、大卒の初任給・最低賃金が低い、一部業界を除いて給料が低いという課題ををある程度反映していると感じた。

「娶某前,生子後」

子どももできて、家族のためにお金を稼ごうと奮い立つ蛇仔(ショーザイ)、だが現実は厳しく、小李(リー)に誘われて地下組織に入ってしまう。

ドラマ内で小李(リー)に台湾語の諺「娶某前,生子後」(tshuā -bóo-tsiân,senn-kiánn-āu)を言われたが、「結婚して奥さんができる前と、子供が生まれた後は運気が上がる」という台湾の言い伝えを表す。現代でも妊婦は宝くじなどに当選しやすい、運気が上がっているとよく言われるが、日本でも同じような言い伝えがあるので興味深い。(ちなみに私は今まで抽選でめったに当選することが無い人だが、妊娠中にプレゼント応募でなんと当選したので、あながち間違いではない?)

ただ、蛇仔(ショーザイ)はその後恋人と結婚し家族を築くことなく、最終的には妊婦を殴るという暴挙に出て、指名手配犯にまでなってしまう。台湾語の諺「娶某前,生子後」と程遠い結末になってしまった……。

二線一星

蛇仔(ショーザイ)と小李(リー)が強哥(チアン)のアジトにいるときに、ある男性が命乞いしているようなシーンがあった。「その人は誰だ?」と小李(リー)が聞いた際に、中国語で「二線一星」だと返事されたが、調べたら台湾の警察の階級を示す言葉だった。

警察がスパイとして地下組織と通じているのも、第3話の情報戦・認知戦の話に通じるなと思った。

※ヘッダー画像は公式Facebook「零日攻擊 Zero Day Attack」より


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