『僕と幽霊が家族になった件』(原題:關於我和鬼變成家人的那件事、英語題名:Marry My Dead Body)は、2023年2月から台湾で上映されて大ヒットした台湾映画。
異性愛の男性警官が、同性愛の亡くなった男性と冥婚することになり、彼の事故の真相を追っていくうちに大きな事件にも繋がっていく……「冥婚×同性婚」という斬新なテーマ。日本やグローバルのNetflixでも8/10から見れるようになりました。
前回の記事では、台湾人目線でも興味深かった台湾の民間風習「冥婚」「紙紮(しさつ)」「ポエ占い」について書きました。今回は本作に登場した同性愛などに関する中国語の表現や隠語を紹介したいと思います。
一部ネタバレがあるのでご留意ください!
「0號」「1號」(「ネコ」「タチ」)
- 台湾華語(中国語)表現:「0號」「1號」
- 発音:「líng hào / ㄌㄧㄥˊ ㄏㄠˋ」「yī hào / ㄧ ㄏㄠˋ」
- 日本語訳:「0號」はリードされる側の「ネコ」「ウケ」、「1號」はリードする側の「タチ」を意味する。
冥婚の儀式の最中に、「新郎0号」「新郎1号」と呼ぶシーンがありましたが、異性愛者で最初はゲイを毛嫌いしていた警察官の呉明翰(ウー・ミンハン)は「0号」と呼ばれて、「新郎2号と呼べや!」と激怒していました。
台湾では、男性同性愛者の用語として、「0號(0号)」がリードされる側、「1號(1号)」がリードする側を表します。生々しい表現ですが、挿入される側とする側を、0と1の数字で表現しているとのことです。
Netflixの日本語字幕では「ネコ」「タチ」と訳されていましたが、私はこの表現を知らなかったので勉強になりました。
なお、呉明翰(ウー・ミンハン)が激怒した理由は、リードされる側と間違えられるのが屈辱的だと思ったのでしょう。かつ自分はゲイではないということで、関係ない「2号」を持ち出したのかなと思いました。
▼以下YouTube動画、06:38あたりからこのシーンの説明があります。
撿肥皂(石鹸を拾う)
- 台湾華語(中国語)表現:撿肥皂
- 発音:jiǎn féi zào / ㄐㄧㄢˇ ㄈㄟˊ ㄗㄠˋ
- 日本語訳:直訳すると「石鹸を拾う」。台湾では隠語として、兵役や獄中など、男性同士でシャワーを浴びるときに、落とした石鹸を拾おうとして屈むと無防備になり、背後から男性(または同性愛者)に襲われてしまう、ということを意味する。
冥婚の儀式が終わり、自宅に帰った呉明翰(ウー・ミンハン)がシャワーを浴びるときに、床に落ちた石鹸を手で拾おうとせず、びくびくしながら足で頑張って取ろうとするシーンがありましたね。
このシーン、一緒に見た日本人夫は特に意図が分からないと言っていましたが、大部分の台湾人なら「これは男性が背後からアソコを襲われる予兆だ」と気づくシーンだと思います。
▼以下予告動画の冒頭でこのシーンが見れます。
由来は諸説あり、昔のアメリカ映画やドラマが発祥という説がありますが、日常的にも男性同士が「兵役中に大浴場でシャワーを浴びるときは絶対に石鹸を拾うな」「先輩からいじめで石鹸をわざと落とされたらどうしよう」「お前石鹸を拾えよ」みたいに、冗談だったり、兵役に行く前にちょっと心配したりする会話を聞いたことがありました。
本作だと、新婚の夫 毛毛(マオマオ)が幽霊パワーで石鹸を落としたのかもしれないですね(笑)
老二(アソコ)
- 台湾華語(中国語)表現:老二
- 発音:lǎo èr / ㄌㄠˇ ㄦˋ
- 日本語訳:直訳すると生まれ順が二番目の子供。次男または次女。隠語として男性のアソコ。
映画の後半で、女性警官の林子晴(リン・ツーチン)が手柄をあげたのに、男性同僚から「どうせ枕営業でしょ」のような女性を蔑視するようなことを陰で言われました。
相棒である呉明翰(ウー・ミンハン)が彼女の代わりに叱ってやろうと思ったら、子晴(ツーチン)に止められ、「講那種話的男人,老二都只有三公分。」(そういうことを言う男は、どうせアソコが3cmしかないでしょ)と覇気のある言葉を放ちます。
ここのセリフが早すぎて中国語が分からず、戻して見直しましたが、夫に「こんなに下ネタを見返すのか」と笑われました(笑)
なぜ隠語として「老二」というのか。他にも「小弟弟」(小さい弟)という隠語もありますが、何となく分かりますよね(?)
直男(ノンケ)
- 台湾華語(中国語)表現:直男
- 発音:zhí nán / ㄓˊ ㄋㄢˊ
- 日本語訳:ストレート(異性愛者)である男
一番冒頭から、呉明翰(ウー・ミンハン)は「鋼鐵直男」(鋼のストレート)とずっと紹介されていましたが、「直男」は英語のstraightから来ています。
異性愛者の男性を指しますが、近年はネット上や若者を中心に「女性との付き合い方に疎く、女性の心を読んだりすることに長けておらず、ことあるたびに女性を怒らせてしまう」ような愚直な男性のことを指すこともあります。
呉明翰(ウー・ミンハン)は異性愛者であり、最初は同性愛者を差別したり、頑固な一面もありましたので、その点含めて毛毛(マオマオ)から「直男」と怒られていたのでしょうね。
以上、台湾映画『僕と幽霊が家族になった件』に登場した中国語の表現、隠語を紹介しました。途中から下ネタを紹介しているようになってしまいましたが、教科書や学校では学べない言葉なので、私も日本語の言い方を学べて勉強になりました!
※ヘッダー画像は公式Facebook「關於我和鬼變成家人的那件事」より
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