『僕と幽霊が家族になった件』登場人物の人物像や、カットシーンから分かる毛毛の過去

僕と幽霊が家族になった件』(原題:關於我和鬼變成家人的那件事、英語題名:Marry My Dead Body)は、2023年2月から台湾で上映されて大ヒットした台湾映画。

異性愛の男性警官が、同性愛の亡くなった男性と冥婚することになり、彼の事故の真相を追っていくうちに大きな事件にも繋がっていく……「冥婚×同性婚」という斬新なテーマ。日本やグローバルのNetflixで2023年8月10日から見れるようになりました。

毛毛(マオマオ)の出身大学院や、カットされた過去の学生時代の場面など、実は登場人物の人物像をより鮮明にさせるための細かい設定がされていました。今回はそれらの設定やトリビアを紹介したいと思います。

一部ネタバレがあるのでご留意ください!

吳明翰(ウー・ミンハン)/ 演:許光漢(グレッグ・ハン)

主人公のノンケ(異性愛者)である警官。はじめは同性愛者を差別するような態度でしたが、毛毛と出会って人となりを知ることで徐々に考え方も変わっていきます。

映画内では、男性的なイメージを強化させるために、吳明翰(ウー・ミンハン)が登場するシーンや服装は緑や青色などの系統が多かったです。

個人的には、許光漢(グレッグ・ハン)がこのようなマッスルな役を演じるのは新鮮でした。ただ、吳明翰(ウー・ミンハン)自身の人物像があまり描かれなかったのが少し物足りなかったです。

映画の最後で、吳明翰(ウー・ミンハン)がマイボトルを使ってドリンクを飲んだり、そのマイボトルにレインボーのシールを貼っているのを見ると、すっかり毛毛(マオマオ)に影響されているなと感じました。

特に気になったのは、マイボトルに人和鬼可以冥婚,同志卻不能結婚?」(人と幽霊は結婚できるのに、ゲイや同性愛者は結婚できない?」というシールが貼られていた点でした。冥婚に対する考えは時代と共に変わり、今や都市伝説として捉える人が多いはずだが、同性婚に対する考えも時代と共に変わっていくかもしれない。この映画では同性婚に対して「OK/NG」という答えを出すのでなく、人々に考えさせるために「冥婚と同性婚」を掛け合わせたのではと、このシーンを見て感じました。

▼そのシールは以下のサムネイルのものと同じです。

毛毛 毛邦羽(マオマオ マオ・バンユー)/ 演:林柏宏(リン・ボーホン)

事故で命を落としてしまったゲイ。自分の意志に反してノンケの警察官と冥婚することに。

毛毛(マオマオ)は私が一番好きな役で、明るい性格ながらも、辛い過去を経験してきたことに心が痛みます。吳明翰(ウー・ミンハン)とは逆で、毛毛(マオマオ)が登場するシーンや服装は鮮やかな赤、黄色、オレンジ色、紫色を中心に構成されています。

動物愛護、環境保全、ジェンダー平等などの社会課題に関心が高く、部屋に「反核」という原子力発電反対の旗がかかっていたり、デモに積極的に参加していたという人物設定となっています。

この設定について、日本語字幕だと訳されていませんが、毛毛(マオマオ)は「台大城鄉所(台灣大學建築與城鄉研究所)」という台湾大学の大学院に通っていたとされています。こちらの大学院は、「性別與空間研究室」というジェンダーと空間についての研究室でジェンダー平等について考察したり、社会活動に積極的に参画している印象がありますので、毛毛(マオマオ)が環境保全やLGBTQ+に関するデモに参加している設定とマッチしています。

ちなみに、関係あるか分かりませんが、「毛毛」という名前は、中国語の表現「毛毛的 (máo máo de / ㄇㄠˊ ㄇㄠˊ ㄉㄜ˙)」から来て(マオマオ)いるのではと思いました。中国語では「怪奇現象・心霊現象に対して、鳥肌が立つような怖さ、ヒヤヒヤした感覚を覚える」ことを指しているので、幽霊である「毛毛」とかけているのかなと感じました。

なお、毛毛(マオマオ)の口癖である「不敢相信」(信じられない)は、役者の林柏宏(リン・ボーホン)が自ら考えたセリフだそうです。四字熟語っぽく、あまり口語では言わないような言葉として考えついたらしいです。台湾ではすっかりトレンドワードになっています。

林子晴(リン・ツーチン)/ 演:王淨(ワン・ジン)

女性の警察官で、吳明翰(ウー・ミンハン)の相棒。「女性はお茶汲みだけしていれば良い」「評価されているのはどうせ実力ではなく枕営業でしょ」などの、旧時代の働く女性に対する偏見に立ち向かう姿が描かれます。最後の最後に彼女の正体を知ったときは正直驚きました。

色んな台湾映画・ドラマで見る王淨(ワン・ジン)は、「鬼(幽霊)」に関する映画にいくつか出演しており、いずれも出演興行成績が1億台湾ドルを超えているとのこと。具体的には『返校』、『月老』と本作ですが、いずれも確かに「鬼(幽霊)」と関係ありますね。

彼女が吳明翰(ウー・ミンハン)と言い合うシーンは面白く、特に恋人の喧嘩を装うシーンで「每次在那邊說什麼快到了快到了!我告訴你啦!跟你在一起這三年我從來沒有到過啦!!!」(もうすぐイクといつも言うけど、付き合ってきたこの三年間で一度もイったことないよ!)と言ったセリフ、日本語字幕を見てようやく下ネタとかけていることを学びました。台湾と日本では「行く」と「来る」で逆なんですね(どうでも良い知識)。

また、後からネットニュースを見て知りましたが、実は林子晴(リン・ツーチン)のお母さん役を演じたのも、同じく王淨(ワン・ジン)だったのです!以下のニュース記事に写真があります。

王淨在《關於我和鬼》竟一人分飾兩角! 隱藏版劇照「死相」大公開

毛毛(マオマオ)の祖母 / 演:王滿嬌(ワン・マンチャオ)

冥婚や同性婚に対して非常にオープンな態度である毛毛(マオマオ)の祖母。毛毛(マオマオ)の生前では一緒に同性婚のデモに参加したり、彼のことを応援していました。

「孫の毛毛(マオマオ)が生きている間に結婚することを見たかった」と話していましたが、これは事故で亡くなったことだけではなく、仮に生きていたとしても、同性婚が法律上で認められていない時代の場合、孫が結婚することを見ることもなかっただろう、という気持ちも込められていたのでしょう。

なお、毛毛(マオマオ)がまだ生きているときに、どう祖母にカミングアウトすれば良いか悩んでいるような場面を、この映画の主題歌である蔡依林 Jolin Tsai《親愛的對象 Untitled》のMVで描いています(詳しくはこちら)。

張永康(チャン・ヨンカン)/ 演:馬念先(マー・ニェンシェン)

吳明翰(ウー・ミンハン)と林子晴(リン・ツーチン)の上司。良い人かと思いきやスパイのようで、悪い人かと思ったら実は良い人でした。

役者の馬念先(マー・ニェンシェン)を見ると台湾映画『海角七号 君想う、国境の南』の「馬拉桑(まらさん)!」ばかり思い出してしまいますが、『華燈初上 -夜を生きる女たち-』、『次の被害者』など多くの台湾ドラマや映画に割とちょこっと出演しています。

ちなみに、麻薬取引のボスと対峙する場面では香炉で頭を叩かれますが、この香炉、実は台湾映画『當男人戀愛時(君が最後の初恋)』で主人公の阿成(アーチョン)が叩かれたものと同じだそうです。同じ制作チームなので興行成績で良い結果を出せるようゲン担ぎで使ったのdすね。

林孝遠(リン・シャオユアン役)/ 演:蔡振南(ツァイ・チェンナン)

麻薬取引を行うグループのボス。台湾のベテラン俳優でさすがの演技だなと思ったのは、怖いヤクザのボスの顔と、体操着を着てエアロビを踊ってしらばっくれるときの顔と、毛毛(マオマオ)に体を乗っ取られて挙動が可愛らしくなっている顔をうまく演じ分けたところです。

特に毛毛(マオマオ)が乗り移って「不敢相信」と叫んだり、あたふたして銃で部下を打ってしまったところで一番爆笑しました。

毛毛(マオマオ)の父 / 演:庹宗華(トゥオ・ツォンホァ)

軍人だった父親で、近寄りがたい厳しい雰囲気。冥婚の儀式で「こんなことおかしすぎるだと」と怒っていたときは、冥婚と同性婚両方に対して怒っていたかなと思いました。

ただ、話が終盤になると、実は毛毛(マオマオ)の彼氏に会ったことがあり、彼が結婚に対して本気ではないクズだと知っていたから、息子に結婚してほしくなかったんだなと分かり、感動しかつ悲しくなりました。そんな思いが息子の毛毛(マオマオ)にも伝わったから良かったですね。

法師 / 演:鄭志偉(チェン・ジーウェイ)

冥婚の儀式を執り行った法師。毛毛(マオマオ)の霊は見えないけど、彼によると、毛毛(マオマオ)と吳明翰(ウー・ミンハン)は前世から深い縁で結び付けられている。しかも人間と犬の関係?!

冥婚の儀式のポエ占い(詳しくはこちら)の適当さを見ると信ぴょう性が疑問ですが、犬好きな毛毛(マオマオ)ならありえそうですね(笑)

阿狗(ア ガオ)/ 演:張再興(チャン・ザイシン)

最初に警察に追われていた人物。俳優の張再興(チャン・ザイシン)は、最近見た台湾ドラマ『台湾・クライム・ストーリーズ』や『R.I.P. 霊異街11号』でも登場し、明るいヤクザ役が私の中でじわじわ来ていますが、今度はヤクザ以外の役も見てみたいです。

小胖(シャオパン)/ 演:陳彥佐(チェン・イェンツォ)

ぽっちゃりした警察官で、吳明翰(ウー・ミンハン)と林子晴(リン・ツーチン)の同僚を演じる。こんなのほほんとした警察官いるのか?と突っ込みたくなるけど、このゆるい感じが面白い。

【特別出演】陳家豪(チェン・チアハオ)/ 演:炎亞綸(アーロン)

毛毛(マオマオ)の元カレ。ちょうどこの映画の上映のタイミングに、台湾のMeToo活動でアーロンに関する過去の出来事が暴露されて、どうしてもそのことがちらついてしまいますが、、映画内ではクズ彼氏を上手く演じました。

【特別出演】警察官 / 劉冠廷(リウ・グアンティン)

最近10年ほど付き合ってプロポーズした劉冠廷(リウ・グアンティン)!この映画ではかのセクシーなポールダンスを取り締まる警察官を演じました。近距離であのシーンを見れたことは一生忘れなさそう(笑)

【特別出演】楊彼得(ピーター・ヤン)/ 演:林鶴軒(リン・ハーシュエン)

呉明翰(ウー・ミンハン)と毛毛(マオマオ)がゲイバーに行ったとき、毛毛(マオマオ)が一瞬驚いたような顔をしていましたが、実は彼が高校生時代にいじめられていて、そのいじめっ子の一人に会ったというシーンがカットされています。

そのいじめっ子は楊彼得(ピーター・ヤン)と言って、林鶴軒(リン・ハーシュエン)が演じます。映画では一瞬しか出てこなかったので全然気が付かなかったですが、公式YouTubeでカットシーンが2本公開されています。

【カットシーン1】高校で毛毛(マオマオ)がいじめられていた過去

高校のとき、毛毛(マオマオ)は性的指向の関係で同級生からいじめられていました。トイレで嫌がらせされ、侮辱的な言葉をかけられ、さらには水をかけられるなど、立派ないじめを数々受けていました。

そんないじめっ子のリーダー格であるピーターは、実は自分もゲイで、カミングアウトできない鬱憤と葛藤から毛毛(マオマオ)をいじめていたのです。大人になってゲイバーで踊っている彼も本当の自分をさらけ出したのでしょう。

このシーンは、似たように性的指向でいじめられ、トイレで亡くなってしまった男子生徒「玫瑰少年バラの少年)」事件(詳細はこちら)と、台湾ドラマ『想見你(時をかける愛)』の王詮勝(ワン・チュエンション)を思い出します。奇しくも王詮勝は許光漢(グレッグ・ハン)が演じています。

【カットシーン2】明翰(ミンハン)がかわりに復讐

ピーターが毛毛(マオマオ)をいじめていたことを知り、明翰(ミンハン)はかわりに復讐しにいきます。旦那さんらしく男気ありますね。

明翰(ミンハン)が毛毛(マオマオ)をお姫様抱っこするシーンも見どころです。ぜひ動画を最後まで見てみてください!

※ヘッダー画像は公式Facebook「關於我和鬼變成家人的那件事」より


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