100ナノメートルの敵

前の記事「Stay Homeの楽しみ方」では、いかに自粛期間を楽しんでいるのか、料理や多様な趣味に没頭しているのかを熱弁していたが、あれから一ヶ月、恥ずかしながら気持ちやモチベーションがダウンしてしまった。異国料理を作る気も、家事をやる気力もなくなり、「これってもしかして、コロナうつ?」なんて思い、症状を調べたりもしたが、幸いそこまでひどいものではないようだ。

ただ、国際結婚して異国に住む身としては、やはり不安になったり、落ち込んでしまうことが多い。ここからは、外国籍配偶者としての個人の気持ちを率直に記録したいと思う。

国際結婚の試練

近年、国際結婚は増えており、私のまわりでも日本人や欧米人と結婚した台湾の子が多い。もちろん国際結婚にはいろいろな障壁があり、親からも念を押して確認されたり、私も悩みつつ、「日本と台湾は近いし、4時間ですぐ行けるから全然大丈夫」と安心していた。

それが、国際結婚して半年後、新型コロナのせいで台湾にも帰省できなくなった。正確には、日本から一度離れると、外国人配偶者でも、永住権を持つ人でも、日本国籍でなければ再入国ができなくなるのだ。そして、感染拡大が収まらない限り、自由に海外渡航することは難しいと思われる。

人は不思議なもので、何かを禁じられると余計したくなる。私も台湾に渡航できなくなってから、無性に台湾が恋しくなってしまった。そう、入学試験や就活で忙しく「帰らない」ことはあったのに、「帰れない」日が来ることは想像できなかった。

海を越えた2,100kmの距離ではなく、たった0.0001mmしかないウイルスの障壁に負けてしまうとは・・・

そんな考えの甘かった自分に、天は試練を与えているのかもしれない。結婚式で誓う「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも・・・」は、こういうことだったんだと納得している。コロナで結婚式をまだ挙げられていないので、まだ誓っていないが(苦笑)

外国人妻の気持ち

幸い、日本は欧米や新興国のように急激な感染拡大はなく、今や緊急事態宣言も解除され、東京アラートもすぐ解除された。東京の感染者数は日々変動し、なかなか先が読めないものの、世間的には最大のピークは過ぎている雰囲気となっており、まわりでも出社を始めたり、飲み会で楽しんだりと、日常が戻りつつある。

もちろん、若年層は感染しても軽症・無症状の可能性が高いので、そこまで神経質にならなくても良いと私も認識している。ただ、日本に住む外国人としては、まわりの目が気になってしまい、当面の間は自粛を続けた方がよいかなと考えている。

理由の一つは、「感染者の国籍を公表しろ」という世論(コメント?)をよく見るからだ。もちろん、海外からウイルスが入ってきたことに対して、または不法滞在の外国人が日本の医療資源を使うことに対して、このようなコメントがあると思われる。ただ、万が一自分が風邪を引いて病院に行く場合、名前を呼ばれて外国人と知られたら、変な目で見られないかが心配だ。だから軽い風邪でも引かないよう(根性で)頑張っている。

また、コロナ前はよく日本在住の台湾人友達と出かけたりしたが、自粛期間と、緊急事態が解除されてからも会わないようにしている。なぜなら、もし台湾の友達と中国語(北京語)でおしゃべりし、外国人だと知られたら、なんとなくまわりの目が気になってしまうので、やはり集まるのはやめようと思う。

もちろん、上記で示したのは極端な例で、外国人を差別する人はごく少数だと思う。同じ日本在住の台湾人友達にも「考えすぎでしょ」と言われそうだが、私は17年前の記憶を忘れられず、どうしても臆病になってしまう。17年前、2003年にSARSが流行した際、私はちょうど東京に住んでおり、街中で中国語を話すと距離を置かれたり、学校で陰口を言われたりと、おそらく「コロナ差別」と思われる苦い経験があった。それを思い出すと、つい肩身が狭くなってしまうのだ。(詳細は「新型コロナ差別のない世界へ」参照)

新型コロナで顕在化される問題

新型コロナによって、家庭内では「コロナ離婚」が問題になったり、国際的にも人種差別、生産依存、米中対立など、さまざまな問題が顕在化されてしまった。私も新型コロナをきっかけに、改めて国際結婚の壁、外国人妻として異国で働き暮らす難しさを思い知った。ただ、欧州や米国にいる友達がアジア人差別に直面したり、入国制限で外国籍配偶者や子供と離れ離れになっている方を見ると、自分はもう十分幸せだと思う。日本人の夫や義理の家族、友達、会社の先輩もみんな優しくしてくれるので、本当に感謝している。

もちろん、今の状況下では、どうしても落ち込んでしまう時がある。でも、夫のことが好きで、自分で決断して日本で暮らす決意をしたので、過去のトラウマも、新しい悩みも、ゆっくり時間をかけて克服したい。もし一人で悩んでも埒が明かない時は、申し訳ないけど、夫も巻き込んで一緒に国際結婚の壁を乗り越えようと思う。

一日も早く、新型コロナウイルスが消滅し、感染症で苦しむ人々も、世界情勢も、地球も早く回復できるよう、強く強く願っている。

Q&A

Y to R:「悪との距離」で一番旦那にしたくない男性は?⇒精神不倫した「劉昭國」だ。私が奥さんの宋喬安だったら、もっと悲しみ荒れてしまうかもしれない。

R to Y:次はどういうジャンルのドラマが見たいですか?恋愛、社会派、青春、サスペンス、歴史などなど。


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