『返校』から学ぶ台湾文化:民間信仰の降霊術「筆仙」

台湾ドラマやゲーム『返校』では、白色テロの歴史要素や心霊ホラー要素に加えて、民間信仰や道教など、台湾文化の特徴が多く登場します。今回はドラマ内に出てくる台湾民間信仰のうち、先輩方芮欣(ファン・ルイシン)が怨霊になった理由や、学生たちが行った降霊術「筆仙」について紹介します。

※ネタバレを含むのでご注意ください!

地縛靈(地縛霊)

  • 台湾華語(中国語)単語:地縛靈
  • 発音:ㄉㄧˋㄈㄨˊ ㄌㄧㄥˊ|dì fú líng
  • 日本語訳:地縛霊

まずは先輩方芮欣(ファン・ルイシン)の霊がなぜは涵翠樓(学校内のビル)に棲みついているのか見てみましょう。方芮欣のように、ある場所に留まる霊のことを台湾でも「地縛靈」と呼びます。これは日本語の「地縛霊」と同じ意味だが、Wikipediaでは以下の定義で解説されています。

自分が死んだことを受け入れられなかったり、自分が死んだことを理解できなかったりして、死亡した時にいた土地や建物などから離れずにいるとされる霊のこと。あるいは、その土地に特別な理由を有して宿っているとされる死霊。

Wikipedia「地縛霊」より

日本での定義と似ており、台湾の民間伝承では、亡くなった際に人間界に愛情・憎しみなどの執念を持っていたり、自殺や他殺などで、不本意の死を遂げてしまった場合は、魂が冥界まで行けず、転生することなく人間界に留まってしまうとされています。

『返校』では1960年代に方芮欣(ファン・ルイシン)が自殺をしたが、執念を抱き続けているので、キャンパス内の函翠樓に留まってしまいます。何度かお祓いや鎮魂儀式を行っても離れず、学校内の地縛靈となってしまったのです。

公式Facebook「返校 Detention 影集」より

筆仙(中華圏・台湾の降霊術)

  • 台湾華語(中国語)単語:筆仙
  • 発音:ㄅㄧˇ ㄒㄧㄢ|bǐ xiān
  • 日本語訳:中華圏・台湾の降霊術、日本のコックリさんに似ている

ドラマ第2話で、文芸サークル(詩社)の学生と程文亮(チョン・ウェンリアン)、劉芸香(リウ・ユンシアン)が夜に学校の涵翠樓ビルに忍び込み、方先輩の霊を呼び出そうとするシーンがあります。この時に行った降霊術の儀式を、中国語では「筆仙」と言い、筆の仙(霊)を呼び出すことを指しています。

儀式の進め方は日本のコックリさんと同じで、答えが分かるように色んな文字、単語が書かれた紙を用意し、複数名でペンを持ちながら紙の上に置いて「筆仙筆仙請出來」(筆仙さん、筆仙さん、おいでください)と呼びかけます。筆仙(霊)がペンに宿るとペンが動き出すので、質問をします。質問し終わったら「筆仙筆仙請回去」(筆仙さん、筆仙さん、どうぞお戻りください)と言います。儀式の雰囲気はドラマ映像(下記動画00:30より)を見ると分かりやすいでしょう。

なお、似たような降霊術で「碟仙」(小皿を使う)、「錢仙」(硬貨を使う)などの方法もあります。1960年代に台湾、特に小中学校で流行し、政府が禁止した経緯もあったらしい。私が子供だった頃もこの儀式のことを知っていたが、呼び出すと戻らなくなるケースがあると聞いたり、親も絶対やるなと言っていたので、ビビりな私は一度もやったことないです。。

以上、『返校』ドラマ版に登場する台湾民間信仰、道教のキーワードを紹介しました。次回は程文亮(チョン・ウェンリアン)一家が営む城隍廟を中心に、道教の儀式や習慣を深堀していきたいと思います。

※台湾ドラマ『返校』のあらすじや登場人物、その他紹介はこちら


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