『斯卡羅 SEQALU』:1867年の台湾歴史を描く台湾ドラマ【あらすじ、登場人物】

台湾ドラマ『斯卡羅』(パイワン語:SEQALU、スカロ。英語タイトル「Seqalu: Formosa 1867」)は、台湾19世紀の歴史を描く大河ドラマ。原作は陳耀昌(チェンヤオチャン)の小説『フォルモサに咲く花』(原題『傀儡花』)。2021年8月14日から台湾で放送開始、8月30日から海外向けのストリーミング配信プラットフーム「Taiwan+」で配信開始です。

※(2021/9/5追記)Taiwan+の公式ホームページ、モバイルアプリだけでなく、YouTube公式チャンネルでも視聴できます!

本作では、1867年に台湾南部で起きた「ローバー号事件」を基に、一部脚色のうえ、台湾複数民族とアメリカ軍、清朝が衝突し、後世の歴史にも影響を残す激動の時代を描いています。台湾人も学んだことのない人が多い19世紀の台湾歴史をテーマにしているため、放送開始前から注目度が高く、事前に歴史背景の予習をしておいた方が、よりドラマを楽しめると言われています。日本でもTaiwan+から視聴できるとのことなので、台湾の歴史に興味を持つ方にぜひ見てほしいと思っています。

ローバー号事件とは

1867年3月12日、アメリカの商船「ローバー号(Rover)」は台湾南部の恆春半島で座礁し、台湾に上陸するものの、原住民(※1)の領土に踏み込んでしまい、侵略者と見なされ13人が馘首(かくしゅ:首を切り落とす)されてしまう。これが歴史上でいう「ローバー号事件」となる。

※1「原住民」:台湾の先住民の正式呼称。17世紀に漢民族が中国大陸から台湾に移住する前から、台湾に居住していた民族。

当初、清朝は台湾に居住する原住民は管轄外であるとの考えから、積極的に本件に関与しなかったため、アメリカは独自で事件処理することに。6月13日、アメリカ太平洋艦隊の総司令官は、軍艦2艘を台湾に派遣して原住民を攻撃するが、将校も戦死して惨敗。アメリカが南北戦争後、はじめてアジアに出兵した作戦だったが、敗北する結果となった。

その後、アメリカの駐厦門(アモイ)領事である李仙得(シャルル・ルジャンドル)は調査のため台湾に派遣される。また、アメリカ軍の敗退と事態の重大さを知った清朝は、500人の大軍を台湾に出兵させる。各種外来勢力によって、台湾の恆春半島に住む原住民、平埔族(※2)、福佬人(閩南人)(※3)、客家人(※4)などの複数民族に衝突と激動をもたらし、最後は李仙得(シャルル・ルジャンドル)が、斯卡羅(Seqalu、スカロ)族の大股頭「卓杞篤(Tokitok、トキトク)」と「南岬之盟」という書面協議を締結し、ローバー号事件もようやく幕を閉じる。

※2「平埔族」:台湾の平地に住む民族という意味。清朝以前からもともと台湾に住んでいた民族で、山地に住む原住民「高山族」と区別される。

※3「福佬人(閩南人)」:主に中国大陸の福建省から台湾に移住した民族。福佬語(閩南語)を話す。

※4「客家(はっか)人」:主に中国大陸の広東省、福建省から台湾に移住した民族。客家語を話す。

斯卡羅(Seqaluとは)

ドラマのタイトル「斯卡羅」は、台湾の原住民「排灣族(パイワン族)」の言葉「Seqalu(スカロ)」から名付けられました。台湾南部、恆春半島南端を統治する政権、または民族を指します。

知本社(今の台東)から南の恆春地区に移った卑南族(プユマ族)に対して、現地の排灣族(パイワン族)が「御輿で担がれる人」という意味を持つ「斯卡羅(Seqalu)」で呼び始めたのが由来で、「豬朥束(チュラソ)社」「射麻里(シャマリ)社」「貓仔(バア)社」「龍鑾(リンロアヌ)社」の四社が統治したと言われています。

▼ローバー号事件の舞台となった恆春半島地図(緑字は当時/灰色字は現在の地名)

公式Facebook「斯卡羅 SEQALU:Formosa 1867」より

『斯卡羅 SEQALU』のあらすじ

1867年3月12日、アメリカの商船「ローバー号」が台湾の恆春半島で座礁し、原住民に首狩りされる「ローバー号事件」が起きる。その後、アメリカ軍が台湾へ出兵して原住民を攻撃するも、敗北で終わる。

アメリカ駐厦門(アモイ)領事の李仙得(シャルル・ルジャンドル)は調査のため台湾へ派遣され、原住民と客家人のハーフの少女・蝶妹(ティアモエ)と出会う。そして、ローバー号事件をきっかけに、原住民、平埔族、福佬人、客家人の各勢力が衝突し、激動の時代が幕開けする。

▼予告動画(英語字幕つき)

『斯卡羅 SEQALU』の登場人物 / キャスト

※画像は公式Facebook「斯卡羅 SEQALU:Formosa 1867」より引用

李仙得(シャルル・ルジャンドル)/ 演:法比歐(Fabio Grangeon)

フランス系アメリカ人。アメリカ南北戦争の功績で昇進し、外交官として厦門(アモイ)に駐在。「ローバー号事件」の調査と交渉を行うために台湾へ赴き、蝶妹(ティアモエ)が通訳を務める。

「ローバー号事件」に対して、清朝は出兵すべきだと主張していたが、後に武力統制ではなく、文明的な解決方法として、原住民のトップと書面協議を締結する。

必麒麟(ピッカリング)/ 演:周厚安(アンドリュー・チョウ)

イギリス人。当時の台南のイギリス商館「天利洋行(Macphail & Co.)」で働く。福佬語、清朝官話、一部原住民語も話せ、台湾の原住民に対する理解もある。

「ローバー号事件」後、イギリス、アメリカが台湾南部を統治したいことに対してコンサルティングやガイドを担うが、大規模な戦争が起きることを望まない。

阿杰(Jie)/ 演:黃遠(ホアン・ユエン)

蝶妹(ティアモエ)の弟。福佬語、客家語、パイワン語が話せる。

客家人と原住民のハーフで、自信のアイデンティティに悩む。斯卡羅の大股頭「卓杞篤(トキトク)」が伯父で、武力衝突の際は原住民側に立ち、蝶妹(ティアモエ)と対立する。

蝶妹(Tiap-moe ティアモエ)/ 演:温貞菱(ウェン・チェンリン)

父は客家人、母は豬朥束社(チュラソ)社の姫・瑪祖卡(マチュカ)。

「ローバー号事件」の際は18歳。客家語、福佬語、パイワン語、英語に精通し、李仙得(シャルル・ルジャンドル)の通訳を務める。自分のハーフであるアイデンティティで苦悩する。

巴耶林(Paljaljim バヤリン)/ 演:余竺儒(ユー・ジュールー)

龜仔甪(クアール)社の首領。勇敢で戦に長ける。「ローバー号事件」のきっかけとなった人物。

伊沙(Isa イサ)/ 演:雷斌・金碌兒(Msiswagger Zingrur)

射麻里(シャマリ)社の首領。斯卡羅(スカロ)社の二番手。外来政権に対して勇敢に戦う。後に卓杞篤(トキトク)に協力してともに外敵と対抗する。

豬朥束(チュラソ)社の姫・瑪祖卡(マチュカ)と婚約していたが破棄される。

卓杞篤(Tokitok トキトク)/ 演:查馬克・法拉屋樂(Camake Valaule)

斯卡羅(スカロ)4社の大股頭、豬朥束(チュラソ)社のリーダー。妹の瑪祖卡(マチュカ)が愛のため部落を離れたのが心残り。

「ローバー号事件」の際は、自信の知恵と経験を踏まえてリードし、平和共存を前提とした書面協議を李仙得(シャルル・ルジャンドル)と締結する。

朱雷(Cudjuy ツジュイ)/ 演:張瑋帆(阿邦)(Wei-Fan Chang)

卓杞篤(トキトク)の甥かつ後継者。烏米娜(Umi)が好きだが片思い。自分の能力を証明したい焦燥感と挫折感にかられる。阿杰(Jie)をライバル視している。

烏米娜(Umi)/ 演:程苡雅(Selep Ljivangraw)

卓杞篤(トキトク)の娘。聡明で明るく、父の有能な助手である。阿杰(Jie)の親友。

水仔(Sui)/ 演:吳慷仁(ウー・カンレン)

社寮(※)首領の長男。父は福佬人、母は馬卡道族(マカタオ族)。福佬人と平埔族のハーフとして、当時は「土生仔(トゥサンア)」呼ばれる。

父の権力を継いだばかりで、部族の生き残りのため、よく福佬人、客家人、原住民の間で折衝、調停を行う。「ローバー号事件」後、西洋人の襲来、清朝軍との衝突で、自身の社寮に被害を及ぼすことを恐れる。

※「社寮」:恆春半島の西側、「保力溪」の河口南岸に位置する。平埔族である馬卡道族(マカタオ族)と福佬系移民が多い。

林阿九(Lin A-Jiu)/ 演:夏靖庭(シャー・ジンティン)

客家人集落「保力(ほりき)庄」の首領。客家人。他の集落「柴城」と水源を巡ってよく争う。

保力(ほりき)の人口が増える中、近辺の「統領埔」「柴城」「社寮」からも隙を狙われるが、各種勢力の中で孤高な態度を保つ。

劉明燈(Liu Ming-Deng)/ 演:黃健瑋(ホアン・ジエンウェイ)

台湾鎮総兵。左宗棠湘軍の系統を継ぐ。「ローバー号事件」の1年前に台湾赴任し、雄大な志を持つ。

「ローバー号事件」後は、万全な準備をしたうえで台湾出兵することを主張し、李仙得(シャルル・ルジャンドル)と知恵争いをする。

朱一丙(Zhu Yi-Bing)/ 演:雷洪(レイ・ホン)

恆春半島の最大級の漢民族集落「柴城」の首領。人口も多く、海に面する地理関係から、他勢力の脅威を受けつつも、原住民の管轄領地から独立できている。

客家人の集落「保力」とよく水源を巡って争いをする。劣悪な環境下でも集落の利益や安全を図る。

勢力相関図

公式Facebook「斯卡羅 SEQALU:Formosa 1867」より

人物相関図

公式Facebook「斯卡羅 SEQALU:Formosa 1867」より

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