『おんなの幸せマニュアル2』台湾人目線の懐かし文化、豆知識【髪禁、繡學號、四物湯、男左女右など】

台湾ドラマ『おんなの幸せマニュアル2』(原題『俗女養成記』、英語タイトル”The Making of an Ordinary Woman 2″)は2021年に台湾で放送された台湾ドラマ。原作は江鵝の同名エッセイ。謝盈萱(シエ・インシュエン)、吳以涵(ウー・イーハン)、藍葦華(ラン・ウェイホア)、夏靖庭(シア・ジンティン)、楊麗音(ヤン・リーイン)、陳竹昇(チェン・ジューシェン)、于子育(ユー・ズーユー)、陳家逵(チェン・ジアクイ)、楊銘威(ヤン・ミンウェイ)、宋偉恩(ウェイン・ソン)ら出演。

シーズン1に引き続き、女性のキャリアと結婚、妊娠、出産などのライフプランの選択や、親子関係について、主人公陳嘉玲(チェン・ジアリン)の現在と過去を通して描いている。

シーズン2が日本でもAmazon Prime Videoや各プラットフォームで見れることに気づき、早速全話見たところ、やはり笑いあり涙ありで、とても心が温まった。また、台湾・台南の景色が沢山登場し、ちょうど今年5月に台南へ行ったのでとても懐かしく感じた。台南の風景やグルメが好きな方にはおすすめ!

台湾人目線で特に面白かったところ、懐かしく感じるところ、台湾文化を感じさせる豆知識を中心に紹介したい。

『おんなの幸せマニュアル2』あらすじ

13歳だった陳嘉玲(チェン・ジアリン)は、初潮を迎えて否応なく大人への階段を上り始める。
41歳になった陳嘉玲(チェン・ジアリン)は、キャリアもプライベートも変化を迎え、自分が思い描く大人へと成長していく。

台南に引っ越した41歳の独身女性、陳嘉玲(チェン・ジアリン)。彼女は中古の家を購入し、彼氏の蔡永森(ツァイ・ヨンセン)と一緒に暮らすことを夢見るが、さまざまなハプニングに遭遇する。

また、新しく英語のツアーガイドとしての仕事を始める嘉玲(ジアリン)は、仕事が順調に進み始める中、体の変化から更年期を疑う。果たして嘉玲(ジアリン)と永森(ヨンセン)の未来はどうなっていくのか。

▼予告動画

『おんなの幸せマニュアル2』感想と台湾豆知識 ※ネタバレあり

第1話 新生活に乾杯!(敬!新生活!)

中学の「髪禁」

中学生になった嘉玲(ジアリン)が髪を短く切るシーンが印象的。髪をバサっと切るシーンでは、女優の吳以涵(ウー・イーハン)は実際に髪を35cm切ったとのこと。

なぜ中学生になったら、髪を短く切らないといけないかというと、台湾では昔「髮禁」という規則があり、中学で男子は3cm、女子は耳下1cmのような規則があった。1987年には解除され、学校側で規則を決めるようになったという。(髪禁について詳しくは過去のブログご参照)

私が2000年代に通った台湾の中学では、最初は「女子は肩まで」という独自のルールがあり、中学二年生に上がる直前に髪をバッサリ切ったら急に規則が無くなって泣いた(笑)なのでドラマ内の嘉玲(ジアリン)の気持ちにはとても共感できた。

なお、髪を短く切った「おかっぱ頭」は台湾では「西瓜皮(xī guā pí / ㄒㄧ ㄍㄨㄚ ㄆㄧˊ)」という。ドラマ第4話でもこの単語が登場する。

制服の「繡學號」

中学生に上がり、制服の胸元に刺繍で学籍番号などを入れるシーンもあったが、台湾では「繡學號(xiù xué hào / ㄒㄧㄡˋ ㄒㄩㄝˊ ㄏㄠˋ)」といい、学生時代は制服の胸元に学籍番号や名前などを刺繍で入れることを指す。

今どうなっているかは分からないけど、私が小学生だったときはワッペンで学籍番号をつけ、中学と高校では学生番号を刺繍で入れていた。女性はストーカーなどの安全性の問題があるので、名前は入れないことになっていたが、男子生徒は入れる学校もあったはず。

ドラマみたいに、子供で学生だったときは、入学や新学期に入る前に親が近所のローカルなハンコ屋さんに制服を持ち込み、「繡學號」制服用の刺繍を頼んでいたのだ。

第2話 時間がない(沒有時間了)

生理中は廟にお参りに行けない

親と一緒にいる時間、女性として「産める」時間、更年期に入る前の残り時間など、女性として身に染みる話ばかり。台湾らしく生理の話をオープンに取り上げているけど、本当に生理は始まっても終わっても辛い。ここで13歳と41歳の時間軸を交差させているのはうまいと思った。

生理中は廟にお参りに行けない」というのは、私も子供の頃から母親に言われてきた。生理は不潔なものだからという理由で、台湾に限らず他の国・地域でも似たような考え方は聞いたことがあるが、この「生理のタブー化」については、今年見学に行った台北の「小紅厝月經博物館」(月経博物館)でまさにテーマとして提起されていた。

漢方薬「四物湯」

初潮を迎えた嘉玲(ジアリン)は、親から「四物湯(sì wù tāng / ㄙˋ ㄨˋ ㄊㄤ)」という漢方薬を飲むよう言われる。これは嘉玲(ジアリン)の実家が漢方薬局だから特別に飲んでいるではなく、台湾で女の子がいる家庭では半数以上が「四物湯」を飲むように言われているだろう。

四物湯は生理や婦人科系でよく使われる漢方薬で、その名の通り四種類の生薬、当帰(トウキ)、川きゅう(センキュウ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)で配合されている。我が家でもドラマのように親から飲まされ、子供だった私が「苦い苦い嫌だよー」と言いながら、生理痛に効くならと思い毎月生理が終わった頃に一週間飲んでいた。ときには体調次第で、四物湯よりもっと強い薬、「十全大補湯」という十種類の生薬が入った薬も飲んでいた。

また、コンビニやスーパーには手軽に飲めるタイプの「玫瑰四物飲」のような商品も販売されている。

なお、日本では粉末タイプの漢方が主流だが、台湾では薬局で薬剤を買って煎じるタイプも多く、薬を煮詰めるのにかなり時間と手間がかかる。私も子供の頃は毎月1週間くらいは母親が生薬から「四物湯」などを煮詰めてもらっていたが、ドラマを見てこれは母親からの愛だったんだなと改めて感じた。

第3話 どこに向かってるの?(我們現在到哪了?)

男左女右

将来の結婚相手などを占うところ、中学生らしくて微笑ましい。

占いで手相を見るときに「男性は左手、女性は右手」とドラマ内で言っていたように、台湾では中国神話由来の「男左女右(nán zuǒ nǚ yòu / ㄋㄢˊ ㄗㄨㄛˇ ㄋㄩˇ ㄧㄡˋ)」という考え方の習慣がある。

私も子供の頃から「男左女右」の考えが染みつき、立ち位置、アクセサリーをつける時などに「あ、今男左女右になった」とつい考えてしまう。今の台湾の子供や若い世代がどれほど「男左女右」を気にしているかが知りたい。

ちなみに、ドラマにも登場した旺福 WONFUの曲《男右女左》、曲名では左右逆転し、歌詞では「男左女右の伝統は千年以上続くけど、あなたが左右どっちにいてもずっと一緒」とあり、現代のジェンダー平等も感じさせられるし、ロマンスもあって素敵。

リンゴの皮占い

夜中にリンゴの皮を剥くと未来の結婚相手が分かる」という占い、台湾で聞いたことがなく、調べてみたらハロウィン発祥地であるアイルランドで、ハロウィン時にやる伝統的な占いが由来だそう。

「途中で切れないように剥いた皮が、将来の結婚相手の名前のイニシャルに見える」で占うものだったらしいけど、台湾は英語圏ではないので、ドラマでは「皮を剝き終わったら鏡の中に未来の結婚相手が見える」とアレンジしたのかな🍎

なお、このリンゴ占いは台湾では1980年代頃に流行ったらしい。嘉玲(ジアリン)の年代とも一致する。私の世代では知っている人がいないので、その後流行らなくなったのだろう。

それにしても、過去も現在も嘉玲(ジアリン)と永森(ヨンセン)の関係性がとても自然体で素直で素敵。

挿入歌「青梅竹馬」

13歳の嘉玲(ジアリン)の家に、永森(ヨンセン)が家の事情で泊まりにやってくる。夜シャワーを浴びるときに2人が歌い、お互いを笑うシーンがあったが、そのときの歌は周治平《青梅竹馬》という歌。

曲名の「青梅竹馬qīng méi zhú mǎ / ㄑㄧㄥ ㄇㄟˊ ㄓㄨˊ ㄇㄚˇ)」は、 中国語では幼馴染、特に異性の幼馴染のことを指す(青梅が女の子、竹馬が男)。嘉玲(ジアリン)と永森(ヨンセン)二人の関係をよく表している。

第4話 招かれざる客(不速之客)

結婚?妊娠?出産?と悩んでいるタイミングに、いとこが子供を連れて泊まりに来た。この子供を見ると子供はほしくないと思っちゃうけど、物語の流れとして絶妙なタイミングだなと思った。

※ヘッダー画像は公式Facebook「俗女養成記」より


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